作業療法士と理学療法士の違い 活躍の場と介護との関わりを解説

資格・サービス
記事内に広告が含まれています。

michiイラスト

『かいごcope』を運営している、介護福祉士の〈michi〉です。

 

”cope”とは「問題に対処し切り抜ける」という意味

 

介護の現場経験トータル約26年現在も現役介護中
整体心理カウンセラーの資格も保有。

 

私が病院併設のデイケアで働いていた時、作業療法士2名理学療法士1名がリハビリスタッフとして配属されていました。

同じリハビリを行う職員なのに、そのデイケアでは

理学療法士の方が偉い

と感じさせる空気が漂っていました。

作業療法士が女性、理学療法士が男性だったことから理学療法士の男性の態度(プライド)がそう感じさせていたのかもしれません。

今回の内容はこちら

  • 作業療法士と理学療法士の違い
  • 作業療法士と理学療法士の活躍の場
  • 物理的介護と日常生活で行う支援
  • 作業療法士と理学療法士が精神面で与える影響
  • 将来性

理学療法作業療法については理学療法士法及び作業療法士法でそれぞれ定義されています。

「理学療法」

「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激マツサージ温熱その他の物理的手段を加えることをいう。

「作業療法」

「作業療法」とは、身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため手芸工作その他の作業を行なわせることをいう。

引用:e-Gov法令検索 厚生労働省「理学療法士及び作業療法士法」

つまり、何に対してアプローチするかが違うのです。

・「理学療法士」は日常生活に必要な基本動作「立つ」「歩く」「座る」などに対して

・「作業療法士」は日常生活のより細かな応用動作「食事」「入浴」「趣味」などに対して

 作業療法士とは

作業療法士は英語で「occupational therapist」ということから『OT』と呼ばれています。

自助具を使って食事をしたり

在宅で生活するため着替えやトイレでの排泄が一人でできるように支援する。

最終的には、趣味の場でたくさんの人と交流がもてる環境をつくり生活に生きがいを持ってもらうことです。

理学療法士にはない特徴として

精神面へのアプローチも得意です。

 理学療法士とは

理学療法士は英語で「physical therapist」ということから『PT』と呼ばれています。

・電気治療

・マッサージ

・運動療法

物理的手段を用いた理学療法で起居動作や移動動作の改善を支援します。

骨格筋や心肺機能の回復と合わせて生活する範囲を広げていきます

 作業療法士と理学療法士に求められる能力

リハビリが必要な障害は

ケガなどが原因のもの

脳が原因の麻痺などがあります。

作業療法士は発達障がいのある子供や大人に対してのメンタル面のサポートにも十分能力を発揮できます。

作業療法士の6割が女性というデータもあります。

理学療法士は医学的リハビリテーションが得意です。

高齢者や障がいがある子どもはもちろんですが、

スポーツをやっている人に対して専門性を発揮する能力も長けています。

病院だけでなく

リハビリを兼ねた作業

こころのケアも行える

という点から高齢者施設でも活躍します。

介護士とは違う専門的な支援が高齢の人の支えになるのでしょう。

心療内科

メンタルクリニック

特別支援学校

意外な所では、市区町村の保健センターなどで働いている人もいます。

 福祉施設での活動

福祉施設ではプランの作成を行うので、介護士は具体的な支援の内容をアドバイスしてもらいます。

・食事や排泄、入浴の応用動作の練習

・在宅での生活(身支度)

・社会復帰や地域活動、他者交流の場への参加

リハビリを行い機能改善を目指し、本人の生きる意欲を引き出せるよう支援します。

 訪問リハビリテーションの役割

訪問リハビリは自宅での生活を支援します。

本人がやりやすい方法を提案し練習、習得できることを目指します。

実際に生活している場所なので、自助具を使ったり機能や能力が改善していくことは自信にも繋がるでしょう。

外で活動するという意欲も起こりやすく、社会適応能力の改善も期待できます。

 作業療法士の社会的貢献

身体機能面と精神面の両方で支援できることから、活躍できる場所が幅広いというメリットがあります。

より細かな応用動作の訓練を行うことは、

高齢者だけでなく子供や悩みを抱えて生活がしづらくなった人にも

社会復帰や社会参加の可能性が拓けると思います。

病気やケガが原因の障がいがどの程度なのかを評価し、回復に向けてのプログラムを組みます。

そのため、

病院のリハビリステーションで活躍する人が多い傾向です。

機能訓練指導員として高齢者施設でも需要が高く、求人が求められています。

また、身体機能の向上、基本動作の改善、関節可動域や筋力へアプローチするプログラムもあることから、

スポーツジムスポーツトレーナーとしても専門性を発揮しています。

 病院でのリハビリテーション

マッサージで血液の流れの改善痛みの軽減を行ったり、

平行棒などの器具を使いながら訓練をします。

装具の使い方なども指導します。

適切な介助方法の指導や研修、

健康教室などでの講師も行います。

理学療法士は医学的リハビリテーションの専門家として、機能回復のプログラムやプラン作成で病院での治療に貢献します。

 スポーツトレーニングの活動

スポーツトレーニングは近年、健康寿命を伸ばす効果が期待されると若い人だけでなく高齢者施設でも注目されています。

トレーニングとして行う運動が

身体や筋肉にどのように効果的なのか

どんなメリットがあるのか

QOLの向上に繋がる理由など。

理学療法士はリハビリとしてだけでなく、知識と技術、経験を活かして身体の動きの指導、訓練を行う

スポーツの分野でも理学療法士は能力を発揮しています。

 理学療法士の専門職としての需要

医学的観点からもリハビリを指導します。

チームケアとして医師や看護師、介護士とも協力して病状の判断や評価を行い、回復に向けたプログラムを作成します。

補装具適合判定調整やレクチャーも仕事です。

病院や高齢者施設だけでなく

児童施設

スポーツ分野と幅広い需要があります。

世界保健機関(WHO)でも障がいがある人に対しての目標が掲げられています。

簡単に言うと

リハビリで「能力低下防止」「社会的適応の向上」に向けて訓練をし、社会参加を目標にしましょう

作業療法士と理学療法士の物理的介護は「訓練」です。

介護の目的は「自立」を促す

理学療法士は

基本動作の訓練

関節可動域や筋力アップの訓練

物理的治療、運動療法などで機能回復

作業療法士は

(基本動作をベースに)より細かな応用動作の訓練

自助具を使って生活動作の自立支援、環境の調整

メンタル面も支援し社会復帰を目指す

領域を区切って専門性を発揮する。

作業療法士、理学療法士はどちらが上ということではなく

お互いがリハビリのプロフェッショナルであるといえます。

 日常生活における支援

 繰り返しになりますが、

理学療法士が起居動作である基本的な動き、「立つ」「座る」「歩く」などの訓練を行う

作業療法士はそれをベースに「食事(料理)」「排泄」「入浴」などに応用できる動作を訓練する

作業療法士は自助具なども作り自立を支援する。

「患者学のすすめ」”人間らしく生きる権利”を回復する新しいリハビリテーション /上田敏+鶴見和子 著

という本があります。

脳出血で左片麻痺、もう歩けませんと診断を受けた社会学者の鶴見氏が、リハビリ界の第一人者上田敏氏の「目標指向的リハビリテーション」と出会い確かな「一歩」を踏み出す

内容紹介より

といった興味を引く内容の本です。

「人間らしく生きる権利」を回復しようとすることがリハビリの原点だ、ということが、まさに精神面を支える介護に繋がると思います。

理学療法士が指導する基本動作

作業療法士が指導する応用動作

リハビリによってできるようになってきた時に、自信ややりがいが持てるようになり自立や社会復帰に向けた意欲も出るのだと思います。

今まで社会人だった人が理学療法士や作業療法士になる、というケースも増えています。

実際に、専門学校で学ぶ4人に1人が社会経験のある人だと言います!

活躍できるフィールドが幅広い

社会的認知度も高くなっている、という点から見ても将来性はあります

ケアマネが作業療法士の資格を取ったり作業療法士が住環境コーディネーターの資格も取得したり♪

理学療法士はスポーツトレーナーとして活動して活躍できる場所を広げたりもあり!

 給与面での比較

どちらも同じ専門職なので金額に大きな違いはありません

平均年収426万円、平均月収29.6万円、平均年間ボーナス71.3万円

(参照:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」

全体の平均年収が408万円なので、作業療法士、理学療法士の収入は低い方ではありません

どちらも国家試験の内容はほぼ同じです。

解剖学生理学運動学病理学概論臨床心理学リハビリテーション医学臨床医学大要(理学療法士は+「理学療法」作業療法士は+「作業療法」)

国家試験の受験資格

専門学校大学3年以上勉強する必要があります

 作業療法士国家試験の難易度

令和3年の合格率は81.3%

直近6年間の平均合格率は81.5%

 理学療法士国家試験の難易度

令和3年の合格率は79.0%

直近6年間の平均合格率は82.8%

 国家試験の問題の性質

国家試験で出される問題は、数年間かくで改定されます。

受験の年にあわせて、過去問を使って分析や傾向と対策などを行いましょう。

ちなみに、理学療法士の知識を学ぶための大学の偏差値です。

当然、私立より国公立の方が高い偏差値です。

国公立偏差値私立偏差値
第1位京都大学72.5杏林大学55.0
第2位北海道大学65.0中部大学52.5

国公立大学の定員数 18〜40人

私立大学の定員数 40〜120人

専門学校の偏差値は公表されていません。

私は以前、「作業療法士と理学療法士では理学療法士の方が偉い」という空気が流れているデイケアで働いた経験があります。

実際は作業療法士と理学療法士は

それぞれの領域でお互いリハビリのプロフェッショナルなのです

理学療法士は

医学的観点からリハビリを行い、基本動作筋力アップ運動療法などの専門性を活かしてスポーツ分野でも活躍の場が広がっています。

作業療法士は

身体のリハビリだけでなく精神面のケアも得意なので発達児童の教育現場でも需要が高まっています。基本動作をベースにした応用動作のリハビリ、自助具を使ったり社会復帰のサポートも支援します。

国家資格ですが

受験には3年以上専門学校か大学で勉強が必要という条件があります。

けれど、社会人から作業療法士や理学療法士を目指す人も多く

専門職の中でも注目されている職種です。

社会貢献ができる仕事は本当に憧れます

福祉・介護ランキング
福祉・介護ランキング

かいごcope - にほんブログ村
タイトルとURLをコピーしました