排泄介助の注意点と困った経験 介護施設で排泄の「見える化」を導入!

笑顔で話す高齢者 介護全般
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排泄介助は介護において大切な仕事であると同時に、とても難しい仕事でもあります。

介護施設での排泄業務で介助に慣れなかったり時間がかかったり、困ったこともあるのではないでしょうか。

この記事では、排泄介助における注意点困った経験具体的な事故防止策を「現場で使える知識」として解説していきます。

また、最新情報の「排泄の見える化」もご紹介します。

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まずは、安全で質の高いケアに繋がる排泄介助の基本的な内容について確認していきましょう。

排泄介助とは?

排泄介助とは、自分の力で排泄ができない方へ身体的または精神的なサポートを行うことです。

具体的には、トイレへの移動の介助着脱介助オムツ交換排泄物の処理など、利用者の方の状況によって様々です。

排泄介助の種類

排泄介助は、大きく分けて以下の3つの種類に分けられます。

種類説明
トイレ介助トイレ誘導
着脱介助
清拭介助排泄後の陰部清拭
オムツ交換オムツを交換し、排泄物を処理

排泄介助に必要な知識・スキル

解剖生理学人間の体の構造、機能を理解することで排泄に関する問題点を把握し、適切な介助ができる
排泄全般排泄の流れや排泄の個人差などの理解は、排泄状況の変化に気づきやすく適切な対応が取れる
コミュニケーション不安や緊張を和らげ、安心して排泄介助を受けてもらえる
身体介護技術安全な移動や体の動かし方など介助を行うための技術
清潔・不潔感染症予防の観点、プライバシーへの配慮など(排泄物の処理も含む)
清潔な状態を保ち、病気の予防や改善

排泄介助は、利用者の方の尊厳安全が大切です。

プライバシーの保護

排泄介助は、プライバシーや周囲の視線を遮るなどの配慮が必要です。

カーテン
パーテーション
トイレやベッド周りに設置し、周囲の視線を遮る
声かけ介助の前には行うことの内容を伝える
「オムツ交換しますね」
「ズボンを下ろしますね」
「おしりを拭きますね」
など
不要な会話会話は最低限に抑え、プライベートな話題に触れない
周囲に聞こえないよう配慮

身体への負担軽減

排泄介助は、介護される側の身体状況によって介護する側の私たちにも負担がかかりますが、介助される高齢者も負担がかかっている可能性があります。

お互いの負担を軽減するために注意すること。

注意点内容
体勢トイレ介助、オムツ交換によって
「どこを支えると安定するか」を考え、
お互いの体に負担がかからないように

腰痛予防のためにも正しい姿勢を意識する
動作ゆっくりと丁寧に

急な動きは避ける
声かけ確認行う動作を事前に説明(声かけ)

不安や痛みがないか確認しながら

取り換えるオムツや清拭タオルなどの準備は段取りを考えすぐ手にとれる場所に置きましょう。

清潔・不潔の意識

排泄介助は感染症のリスクと隣り合わせです。

見た目の問題もあるため、常に清潔な状態を保ち適切な衛生管理を行う必要があります。

対策内容
手洗い・介助の前後には石鹸を使い丁寧に手を洗う
・アルコール消毒液も併用するとより効果的
手袋の着用・排泄物や体液から感染する可能性がある
・使い捨て手袋を使用し介助後は適切に廃棄
マスクの着用・咳やくしゃみなどで飛沫感染する可能性がある
(介護者が媒介にならないことも大切)
環境整備・介助を行う場所の清潔保持
・汚染された物品の適切な処理と定位置の徹底
・処理方法の統一

排泄物介助後
オムツなど・交換後のオムツは床に置かない
・各施設で使用物品、処理方法のやり方を統一
(ビニール袋や古新聞を使用、など)
・汚染された物品は密閉して廃棄
トイレの清掃・使用後は便の汚れなど落とし清潔な状態を保持

排泄介助は、介護者にとっても安全でなければならない。

転倒

トイレ誘導、トイレ介助で起こる可能性が高い事故です。

トイレやポータブルトイレで起こると、高齢者は大きなケガを負う可能性があります。

転倒を予防するために効果的な対策です。

対策方法
滑り止めマット・体のバランスを崩しそうになった時の予防になる
・床が滑りやすい場合の転倒防止の対策になる
介助者の立ち位置・麻痺などがあればカバーできる位置に
・体を回転させる場合、安全に向きを変えられるように
手すりの活用・手すりを掴むよう声掛け、誘導し体を支える
・手すりを活用することで重心を安定させる
適切な靴の着用・フィットした靴
・滑りにくい靴
・脱げにくい靴

誤った介助によるケガ

排泄介助、オムツ交換は様々なケースが考えられます。

常に「安全に配慮する」ことが大切です。

  • 身体の構造: 利用者さんの身体の構造を理解し、無理のない姿勢で介助を行う。骨折や脱臼などの既往症がある場合は特に注意が必要
  • 正しい介助方法: 正しい介助方法を習得し、安全に配慮した介助を行う。
  • 利用者の方の意向を尊重: 「○○(介助方法)をしますね」などの声掛けに対して了承の確認。利用者さんによっては「同性に介助してほしい」「少し待ってほしい」などの希望がある人もいるため意向を尊重
  • 複数人で介助: 利用者さんが体の大きな方の場合や抵抗が強いなど介助に不安がある場合は、二人介助など複数人で行う

意向を尊重しないことは、利用者さんが認知症だった場合など抵抗に繋がったり、「排泄介助が嫌だ!」というトラウマになりその後の排泄介助が困難になったりします。

トイレやベッド上だけでなく、入浴時にストレッチャーで排泄交換をするケースもあるかもしれません。

その場合「転落」しないように対面での二人介助で行うことも事故の予防になります。

緊急時の対応

排泄介助中に急に利用者さんが体調が悪くなったり意識を失ったりした場合、慌てず適切に対応しましょう。

緊急時は状況確認をし、速やかにナースへ報告、応援。

排便時の”いきみ”や排便後に血圧が下がり、状態の変化や体調不良になる方もいます

  1. 状況確認: 利用者さんの状態確認。意識レベル、呼吸状態、脈拍などを調べる。
  2. 応急処置: 必要に応じて応急処置を行う。例えば、意識がない場合は気道確保を行い、人工呼吸や心臓マッサージなど。
  3. 救急要請: 緊急性の高い場合は速やかに119番通報。
  4. 記録: 今後の対応や事故防止のため、発生した状況を詳細に記録。

介護の現場では様々な状況や課題に直面します。

ここでは、排泄介助でよくある悩みとその対応についてご紹介します。

介助中に利用者さんが暴れる

排泄介助中に利用者さんが暴れることがたまにあります。

1人で対応できないときなどはとても困ってしまいますが、それでもまずは利用者さんの安全の確保が最優先です。

  • 落ち着いて対応: 利用者さんを刺激せず、穏やかな口調で落ち着いて対応。NGは対応は「大声で怒鳴る」「押さえつける」「無理やり介助しようとする」です。状況が悪化する可能性があります。
  • 安心感を与える声かけ: 利用者さんに優しく語りかける。介助の内容を説明したり、寄り添うような声かけをしたりすることで落ち着く場合があります。
  • 介助方法の見直し: 介助方法が利用者さんに合っていない可能性もあります。
  • 専門家へ相談: 状況が改善しない場合は、医師や看護師、ケアマネージャーなどに相談し適切なアドバイスを求めましょう。

とはいえ、認知症の方や体の大きな男性が暴れると本当に大変ですよね!

抵抗の強い認知症の方のオムツ交換を1人でしなければいけない、という状況になれば大切なのは

自分守ること!

私は「殴ろうとしても手が届かない距離感」を取れるようになりました。

抑える部位、私が加える力の程度など利用者さんを傷つけない技術も身につけました。

でも一番のおすすめはやっぱり、

大変な利用者さんには「複数人で対応する」ことですね!

介助を嫌がる利用者さん

利用者さんが介助を嫌がる場合、その理由を理解することが大切です。

  • 過去のトラウマ: 過去の経験から、排泄介助が嫌だと思った可能性があります。記録を見てできるだけ想像し、寄り添うことが大切です。
  • プライバシーの侵害: 排泄介助を「恥ずかしい」と感じている場合があります。利用者さんの気持ちを尊重し、プライバシーに配慮した介助を行いましょう。
  • 身体的な不快感: 介助時の痛みや不快感を感じている場合があります。何が不快だったのかが分かれば、それを少しでも取り除ける介助を目指しましょう。
  • コミュニケーション不足: 声かけなく介助に入ったり、利用者さんの気持ちが理解できていない場合があります。信頼関係を築くことが大切です。

拘縮がひどい人の排泄介助

手や足が曲がったまま伸びない、など拘縮がひどい利用者さんの排泄介助は大変ですが、それ以上に注意が必要です。

  • ゆっくりとした動作: 拘縮により身体が硬直しているため、ゆっくりと丁寧な動作を心がけましょう。無理な力を加えると、脱臼や剥離などの痛みやケガに繋がります。
  • 関節の保護: 関節が曲がらないようにタオルやクッションを使い、関節を保護しながら介助を行いましょう。
  • 専門知識の習得: 拘縮の予防や改善に関する書籍などで知識を増やし適切な介助を提供しましょう。
  • リハビリテーションの連携: 理学療法士などの専門職と連携し、リハビリテーション計画を立て拘縮の改善を目指しましょう。

排泄介助の記録の仕方

排泄介助の記録は利用者さんの状態把握にとても重要です。

  • 日付と時間
  • 排泄の回数と量
  • 排泄物の状態: 色、臭い、硬さなど
  • 介助内容: トイレ介助、清拭介助、オムツ交換など
  • 利用者さんの状態: 体調、気分、痛みなど
  • その他: 特記事項、観察事項など

下剤や座薬の使用や失禁なども記録しておきましょう。

最近、排泄介助の負担軽減だけでなく介助の質の向上としても

「排泄の見える化」が広まっています。

排泄に関する情報を可視化することで、利用者さんの状態をより詳細に把握し、排泄に誘導するタイミングなど適切なケアが行えるメリットがあります。

排泄の見える化の具体的な方法はこちら。

  • 排泄記録のデジタル化
  • 排泄状況の共有システムの導入
  • 排泄に関する情報の可視化ツール開発

さらに、排泄介助の質を高めることは利用者さんのQOL向上にも繋がるでしょう。

センサーが感知して収集したデータはそのまま記録に残ります。

  • 排泄量センサー: 排泄量の測定、膀胱内の排尿がどのくらい溜まっているか、など排泄量の変動が把握できることは脱水症状や便秘などの早期発見に役立ちます。
  • 排泄時間記録: センサーが排泄を感知し、排泄時間を記録します。排泄時間が一定時間以上空いている場合は適切な対応に繋げられます。
  • 排泄物状態分析: 排泄物の状態(色、臭い、硬さなど)から分析ができます。排泄物の変化は食生活や体調の変化、病気の早期発見にも対応できます。

オムツにつけるセンサー

介護用オムツセンサー

介護用おむつセンサー」

スマートフォンと連動しているのでメリットもたくさんあります。

オムツが濡れたらスマホで確認できる(オムツ交換の空振りがない、オムツかぶれなどの肌トラブルのケアに対処できる)

センサーが排尿を検知すると排尿パターンによる「排尿日誌」が自動的に作られる

要介護者の健康管理に活用できる

オムツセンサーがアプリの入ったスマートフォンから約30m離れるとアラームが鳴るため、徘徊防止にもなる

介護者、要介護者ともに排泄介助の負担軽減に繋がると思います。

下腹部に装着するセンサー

排泄センサー

テレビでも紹介された「DFree」という商品です。

エコー診断にも使われている超音波で、膀胱内の尿の溜まり具合を10段階の数値で表示

スマートフォンに排尿のタイミングを通知してくれるので自立にも繋がります。

特定福祉用具として介護保険の適応もされました。

介護施設でも在宅介護でも使えて、排泄介助の負担が軽減できます。

この記事では、排泄介助の基礎知識から起こりやすい事故、悩みなどについて解説しました。

排泄介助は利用者さんの尊厳と安全を第一に考え、適切な知識と技術を身につけて行うことが大切です。

とはいえ、介護者には負担も大きく大変な仕事であることは否めません。

その救世主ともなり得る技術が「排泄の見える化」です。

スマートフォンとも連動していて排泄があったタイミングで通知が来る。

徘徊の防止や排泄パターンの記録をする機能も備えている優れもの。

介護保険の適用もあり、今後ますます利用する人や施設は増えていくと思われます。

排泄の「見える化」は注目度も高く、今後も進化していく技術となるでしょう。

排泄介助は介護の現場において非常に重要な業務です。

常に最新の知識と技術を学び、安心して過ごしていただけるよう質の高いケアを提供していきたいですね!

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