「介護」と「介助」の違い 6種類の介助とよくわかるポイント・コツ

介護と介助違いアイキャッチ画像 介護全般
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「介護」は仕事としての分類

「介助」は起居動作の手伝い具体的な手段

のこと。

今回は6種類の介助についての解説と具体的なポイントをご紹介します。

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「高齢者福祉三原則」デンマークで提唱)
  1. 生活の継続性(出来る限り在宅でそれまでと変わらない暮らしができるよう配慮する)
  2. 自己決定の原則(高齢者自身が生き方・暮らし方を自分で決定し、周囲はその選択を尊重する)
  3. 残存能力の活用(本人ができることまで手助けするのは能力低下を招くから、やってはいけない)

介護が必要な人でも

介助してほしいこと、してほしくないことは人それぞれです

これができるようになりたい!と思うこともそれぞれです。

  • 病気の程度
  • 性格
  • それまで育ってきた環境

などが異なるからです。

介助者がおさえたい4つのポイント

  • 相談窓口との繋がり
  • 介護保険制度の活用
  • 介護施設への入所を検討
  • 介護予防のススメ

  • 困った時は地域包括支援センター市役所区役所などの相談窓口を利用(地域全体で支援、体験談や成功例のヒント、安心感も得られる)
  • 介護は長期間に及ぶため、金銭面の負担が軽くなる「介護保険制度」は重要(訪問、デイ、リハビリ、ショートステイ、福祉用具など必要な介護サービスが介護保険で受けられる)
  • 在宅介護において介助者が心身ともに疲弊してしまう前に、支援事業老人ホーム介護施設への入所を検討(ショートステイなどから試していくケースが多い)
  • 介護予防の意識運動能力の低下防止食生活の見直し口腔機能の向上、など)

介護の定義

心身の障害が原因で自分だけでは日常生活動作が困難な人にお世話や支援を行うこと

自立をはかることが目的

介護の分類は

  • 身体介護
  • 生活援助(家事援助)
  • 精神的援助
  • 社会的援助

  • 自立に向けた援助を行うこと
  • 病気などで改善が見込めないとしても「現状維持」を保とうとすること

身体介護生活動作の支援(起居動作など)
本人の自力を活かし介助しすぎない
生活援助日常生活の支援(掃除や洗濯など)
身体に触れる援助のみ
家族への支援や日常生活以外の支援はNG
(家族の食事を作る、普段しない大掃除や荷物の片付け、など)
精神的援助精神面のサポート
専門職に相談しケア
社会的援助介護サービスの利用(介護保険を活用)

※身体介護で行う支援が「介助」となるので、

例:

NG→「食事介護」「入浴介護

OK→「食事介助」「入浴介助

※生活援助は本人への支援

「家族の分の食事も作って」などはできないのでお断りを。

介助は具体的な手段のこと。

  1. 食事介助
  2. 排泄介助
  3. 入浴介助
  4. 歩行介助
  5. 更衣介助
  6. 移乗・移動介助

食事介助

食事がうまく摂取できない方への食事の支援。

  • 誤嚥
  • 窒息

事故に繋がるリスクがあるので、注意が必要です。

【介助が必要な原因】

  • 咀嚼・嚥下機能の低下
  • 認知症
  • 麻痺

【注意点】

  • 姿勢は正しいか
  • 本人の食べるペースで口に入れているか
  • 適切な水分量が摂取できているか
  • 口腔ケアはできているか
  • 口腔、嚥下体操は必要か

排泄介助

介助の種類介助方法
トイレ誘導トイレ誘導
ズボンの上げ下ろしなど排泄前後の介助
ポータブルトイレ誘導ベッド横に設置するポータブルトイレへ誘導
排泄介助
オムツ交換寝たきりや座位保持が困難な方に行うオムツ介助
尿器・便器介助ベッド上で尿器や便器を使用した排泄介助

介助を受ける利用者さんは

  • 申し訳ない
  • 恥ずかしい

といった感情を持ちます。

プライバシーや尊厳を守ることに十分な配慮が必要です。

【注意点】

トイレやポータブルなどで排泄を行う際は、

前方に転倒するリスクに注意。

前かがみ(腰から上部が前に倒れる動作)の姿勢が原因です。

  • 気が散りそうな落ちているもの
  • パーキンソン病などで前傾姿勢になりやすい症状

など危険予知の習慣をつける

周囲の環境の確認声掛けなども意識しましょう。

入浴介助

  • 清潔保持
  • リラックス効果

が主な目的です。

「入浴後はぐっすり眠れる」と楽しみにされている半面、

入浴を嫌がる方もいます。

また、

体力を消耗する行為でもあるので注意が必要。

【注意点】

  • 体温、血圧は大丈夫か
  • 入浴前の排便(排便の”いきみ”で血圧上昇、排便後の血圧低下)
  • ふらつき
  • 転倒(浴室は事故のリスクが高い)
  • 入浴後の水分補給
  • シャワーや浴槽の温度
  • 細やかな配慮(湯冷めしないように、など)

プライバシーや羞恥心、怪我のリスクに十分な配慮が必要です。

歩行介助

手引き歩行

  • 見守り
  • 付き添い
  • 手引き
  • 杖歩行
  • 歩行器介助
  • 階段歩行
  • 患側歩行

歩行の種類介助の特徴
見守り歩行・スムーズに歩けているか
・周辺に危険因子はないか
・どこへ行こうとしているのか
など観察と予測が必要
付き添い歩行・横に付き本人の歩行ペースに合わせる
・軽く手を添えるときもあり
・速度や足取りがいつもと同じか観察
手引き歩行・横につき片手介助
・本人と向き合う形で正面に立ち、両手をとって介助

・両手介助の場合:
介助者は肘に下から手を当て支える。
利用者さんは介助者の腕をつかむようにすると安定する。
歩行・介助者は杖を持つ手の反対側、やや後ろに立つ
・ふらついたらすぐに支えられるよう意識
歩行器歩行※歩行器の種類によって介助を変える

持ち上げるタイプ
持ち上げた際は後ろに転倒しないように、
つまづく・ひっかかったときは前方に転倒しないように注意

前腕支持型歩行車
利用者さんの後ろに立ち、脇の下もしくは歩行器を支える
スピードのコントロールを行う

グリップを握って歩く歩行車
グリップのブレーキでスピード調節
介助者は歩行器と本人、両方に手を添えコントロール

※車輪のついた歩行器は、加速がつきすぎないように注意
階段歩行※上る時と下りる時で介助方法が変わる

片麻痺など、健側、患側がある場合
〈上る時〉
・介助者は斜め後ろに立つ
・麻痺がある方に立ち、腰と脇を支える
・健側(いい方の足)から先に1段上る
・腰と脇を支えながら患側(不自由な方の足)を先に上った健側と同じ段にのせる
1段ずつゆっくり上る
【ポイント】
患側を上げる時は、重心(体重)を健側(いい方の足)にのせる気持ちで
→健側に体重がのることで麻痺側の足が上がる

〈下りる時〉
・介助者は斜め前に立つ
・麻痺がある方の腰と脇を支える
・患側(不自由な方の足)から先に1段下りる
・麻痺側を支え、健側(いい方の足)を同じ段にのせゆっくり下りる
【ポイント】
踏み外さないよう足の裏全体をきちんと段差にのせる
麻痺側の足が内側に入らないように
→半回転が加わったように体の向きが変わり転落の危険性がある
介助者はそうなる前に麻痺側の肩を抑え修正する

下りる時をより慎重に(踏み外して転落、という事故が起こらないように)
※上る時と下りる時で先に出す足が違う
患側歩行半身麻痺など患側の歩行介助
杖など使用

・麻痺側の半歩後ろに立つ
患側健側、の順で進む
・杖は健側より20㎝程度斜め前につく

※患側を前に出す時は先についた杖(健側)に重心をおく
(健側に少し体が傾くイメージ)
※患側の膝はまっすぐの状態
(前に出す時は外側に少しふくらむ形になる)
※介助者は麻痺側に近寄りすぎない
(麻痺側の足が大きく動くので、介助者が邪魔になると転倒する)

※使用する杖の先端のゴム:歩行の前にすり減っていないか確認

更衣介助

  • 入浴
  • 着衣が汚れたとき

更衣の際は協力動作を促すことで本人のリハビリになります。

(「手を曲げて」「足を上げて」「前を向いて腰を伸ばして」、など)

最も大切なポイントは

「着患脱健(ちゃっかん・だっけん)」

  • 着るときは「麻痺側」から
  • 脱ぐときは「健側」から

着脱がしやすいだけでなく、

  • 麻痺側の骨折
  • 脱臼
  • 皮膚はくり

などのリスクを抑えられます。

【その他のポイント・注意点】

  • 前開きなど着脱しやすい服を選ぶ
  • 室内温度
  • プライバシーへの配慮
  • 皮膚状態の観察
  • 手順(今からすること)の声掛け

【手順:脱ぐ→着る】

  1. 健側の腕から脱ぐ(肩と肘を袖から外すと簡単に脱げる)
  2. 患側の袖を外す(無理にすると皮膚はくりや脱臼などに繋がる)
  3. 着脱時は、麻痺や拘縮に合わせて介助者は力加減を変える
  4. 患側の腕から着せる(あらかじめ袖をたくし上げておくなど工夫を。脇、肩まで通す)
  5. 健側の腕を通す(袖を確認できたら自分で腕を通してもらう) 

ズボンを着るときも「着患脱健(ちゃっかん・だっけん)」は同じ。

更衣介助は

  • 椅子に座るなど安定した場所で
  • 自分でできる部分は行ってもらう

など協力動作を促しましょう。

移乗・移動介助

  • 移乗別の対象へ移ること
  • 移動別の場所へ動くこと

車椅子などの移動は移動手段の操作となります。

移乗介助は、

利用者さんに触れ場所を移ってもらうので、注意が必要となります。

具体的には

  • 転倒
  • 転落
  • 皮膚はくり

などです。

  1. 身体の姿勢や動き(動作)の基本を理解する
  2. 大きな骨を支える
  3. 「ボディメカニクス」の活用

身体の姿勢や動き(動作)の基本を理解する

  • 人間の身体の動き
  • 動作で使う関節や体の部位

を理解すれば介助する側もされる側も負担が少なくてすみます。

例えば、【立ち上がる動作

  1. 上半身を前に倒す
  2. ゆるいS字カーブを描きながら身体を上に伸ばす

【ポイント】

  • 浅く座りなおす
  • 足は片方少し後ろに引く
  • ひざの裏と座面の間にあそび(すき間)をもたせる
  • 上半身を前に倒せるだけの空間が必要

浅く座り、上半身を前に倒すことでおしりが浮く。

片足をひき、S字を意識しながら体を上に伸ばすことで立ち上がることができる。

それを理解していれば介助する時の声掛けも

  • 「浅く座りなおしましょう」
  • 「片方の足を少し後ろにひいて」
  • 「おじぎをするように体を前に倒して」
  • 「S字を描くようにゆっくり上に上がりましょう」

となり、介助し過ぎることもないと思います。

大きな骨を支える

移乗・移動介助には体に触れて介助を行う場面もあります。

肩甲骨骨盤など大きな骨を支えて行うことで

少しの力で安定感のある介助ができます。

大きな骨を支えるということは、

できるだけ体を近くによせて行うことになります。

安定感だけでなく

  • 介助者の腰痛予防
  • 利用者さんの恐怖感の軽減

にも繋がります。

「ボディメカニクス」の活用

ボディメカニクスとは、

最小限の力でできる介護技術

人体力学とも言われ、腰痛予防にも大きな効果が期待できます。

ボディメカニクスが役立つシーンは

  • 車椅子⇔イス
  • ベッド⇔車椅子
  • ベッド上での体位交換
  • ベッドから起き上がるとき

などがありちます。

「ボディメカニクス」について詳しくはこちら

「介護」とは仕事の分類上使われる言葉。

「介助」は起居動作の手伝い、具体的な手段のこと。

介助には6つの種類があり、経験を積むことでスキルアップしていきます。

介助を行う目的は

「自立をはかる・促す」ことです。

  • 残存機能を活かしてできることは自分でやる
  • できない事・ひとりではむずかしいことを手伝ってもらう

介助には転倒やケガなどリスクを伴うこともあります。

  • 観察し経験を積む
  • 知識とスキルを身につける

ことで利用者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上にも繋げられます。

介護は長期に及びます。

介助者自身の負担軽減は大切です。

介護には福祉用具の活用も助けになります

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