コーヒーといえば
- 眠気防止
- 食後の一杯
- リラックス効果
など、生活に欠かせない飲み物のひとつとなっています。
近年は
「高齢者の健康維持に重要な役割をしている」
といった研究結果の報告もあり、
高齢者とコーヒーの関係性が注目されています。
もともとコーヒーが好きな高齢者にとっては有益な情報ですよね。
研究結果も広く知られるようになり、
高齢者のコーヒー消費量も増加傾向です。
日々の生活でもコーヒーを飲み、香りや味を楽しまれています。
この記事では、シニア世代や高齢者の
「健康に影響する病気とコーヒーの関係性」について、
科学的根拠に基づいて具体的にご紹介します。
コーヒーがもたらす健康効果
コーヒーがもたらす健康効果は多岐にわたりますが、特に注目されているのが
- 認知症予防
- 動脈硬化・心疾患リスクの低減
- 糖尿病予防
- がん予防
といわれています。
コーヒーに含まれる成分で、
- カフェイン
- ポリフェノール
- クロロゲン酸
などの生理活性物質が貢献していると考えられています。
生物の体内で生理機能の維持や調節に関係する化学物質のこと
- ホルモン
- 神経伝達物質
- ビタミン
- 酵素
- ヒアルロン酸
などがあります
今や、多くの大学や研究機関が「高齢者とコーヒー」について研究しています。
- 新潟大学大学院の中村和利教授らの研究グループ
- フランスのリール大学
- パリ・シテ大学の科学者
- 韓国の仁済大学
- 英国のアルツハイマー協会(AS)
- 米国のサウスフロリダ大学
などなど。
その中でも、
新潟大学大学院の中村和利教授らの研究グループは
日本人の中高年が摂取したカフェインの量による認知症リスクの調査で
「コーヒー高摂取と認知症低リスク」
「カフェイン高摂取と認知症低リスク」
についての強固なエビデンスを得たとの研究報告を発表しています。
それでは、コーヒーに含まれる成分についてそれぞれみていきます。
カフェイン
健康効果の中でも
「認知症予防」
において特に注目されている成分です。
カフェインは中枢神経系を刺激する作用があり、
- 覚醒
- 集中力
- 記憶力
- 注意力
などを高める効果が期待されています。
カフェインが脳内の神経伝達物質である
「ドーパミン」
「ノルアドレナリン」
の働きを促進し、
脳の活動を活発化させるためだと考えられています。
さらに、カフェインが神経細胞を保護するという効果も
アルツハイマー病の発症リスクを低減する要因だと考えられています。
アルツハイマー病は、
「脳細胞の死滅によって引き起こされる病気」なので、
カフェインの
- 脳細胞の死滅を予防(神経細胞の保護)
- 神経伝達物質の働きを改善
する効果が認知症の予防に効果的だという結果につながるのですね。
高齢者のカフェイン摂取と記憶力・注意力向上の効果については個人差もあり、
さらに研究が続けられています。
認知症予防以外の効果については、カフェインに含まれる
- 利尿作用
が体内の老廃物を排出し、健康維持に役立ちます。
また、自律神経の働きを高めることが
- 運動能力の機能向上
- 心臓の筋肉の動きを強める
ことにもつながり、
健康維持に役立つ効果があるといわれています。
さらに、呼吸器の機能を改善する
- 気管支を拡張する作用
が呼吸器疾患の死亡リスク低下につながる報告がされています。
【カフェインに期待される健康効果】
| 中枢神経系を刺激 | 集中力・記憶力を高める効果 (認知症予防) |
| 神経細胞を保護 | 脳細胞の死滅を予防 (アルツハイマー病の発症リスクを低減) |
| 利尿作用 | 体内の老廃物の排出 |
| 自律神経の働きを活性化 | 運動能力の機能向上 心臓の筋肉の動きを強める |
| 気管支を拡張 | 呼吸器疾患の死亡リスク低下 |
カフェインの含有量では、1杯(150ml)で換算すると
- コーヒー80~90㎎
- 緑茶類 30㎎
- 紅茶 45㎎
といわれており、好んで飲まれる飲料の中では多い方です。
〈カフェインの量について参考にした記事〉
「EPARKくすりの窓口 くすりのお役立ちコンテンツ」
コラム「意外と知られていないコーヒーに含まれるカフェイン量と適切量を解説」
ポリフェノール
ポリフェノールは、活性酸素を抑制する「抗酸化作用」があり、
- がん
- 動脈硬化
- 心筋梗塞
などへの予防に効果が期待されています。
ポリフェノールは赤ワインに多く含まれていることで有名ですが、
コーヒーに含まれるポリフェノールは、
赤ワインについで二番目に多い含有量だと言われています。
ポリフェノールは
- 水に溶けやすい
- 長時間持続しない
という性質から、毎日こまめに摂取することがおすすめです。
「ポリフェノール」といっても、
実はいくつかの種類に分類され、その効果も違いがあります。
代表的なポリフェノール
- アントシアニン
- カテキン
- カカオポリフェノール
- ルチン
- イソフラボン
- コーヒーポリフェノール(クロロゲン酸)
| 効果 | 多く含まれる食材 | |
| アントシアニン | ・視力回復 | 赤ワイン ブルーベリー なす |
| カテキン | ・抗酸化作用 ・殺菌作用・抗菌作用 ・口臭予防 | 緑茶 紅茶 |
| カカオポリフェノール | ・抗酸化作用 ・血圧低下 ・動脈硬化予防 | チョコレート ココア |
| ルチン | ・毛細血管強化作用 (脳卒中の予防) | そば 玉ねぎ |
| イソフラボン | ・更年期症状の緩和 | 大豆 |
| コーヒーポリフェノール (クロロゲン酸) | ・抗酸化作用 ・脂肪燃焼 (脂肪肝の予防) | コーヒー |
ポリフェノールはいろいろな食材に含まれていますので、
できるだけ食事から摂取できるよう、バランスの良い食事を心がけたいですね。
クロロゲン酸
コーヒーポリフェノールともいわれ、
コーヒーに含まれているポリフェノールの種類です。
抗酸化作用のある成分で、
脂肪の代謝に働きかけ内臓脂肪の蓄積を予防する効果が期待できます。
肥満やメタボ、2型糖尿病の発症リスクを低減する効果があることも報告されています。
コーヒーポリフェノールは、血管の健康にも良い影響を与えると言われています。
コレステロールの酸化を防ぐことで、血管の炎症を抑える効果が期待できます。
- 動脈硬化
- 心疾患
これらのリスクを低減できるといわれています。
リラックス効果
コーヒーの健康効果にはもうひとつ大切なものがあります。
それは「香り」です。
コーヒーの香りが気分を落ち着かせ、
脳内に「α波」が増加し、リラックス効果を与えることです。
集中力を高め、情報処理能力も上がるといいます。
カフェインは脳の働きを活発化させ、
香りは脳内をリラックス状態にする効果がある。
「ストレス解消」になり、健康維持に貢献できます。
健康リスクとコーヒーの飲み方 注意点は?
健康維持に役立つとはいえ、コーヒーはいいことばかりではありません。
当然飲み過ぎるとリスクも伴います。
高齢になるほど体調も変化してきます。
- 細胞の老化
- 機能の低下や衰え
加齢を意識せずにカフェインを過剰に摂取すると、逆に健康障害を起こしかねません。
飲み過ぎで考えられる健康障害は
- めまい
- 心拍数の増加
- 睡眠障害
- 頻尿
などです。
コーヒーを健康維持に役立てるなら、
飲むタイミングと飲みすぎないことに注意すれば大丈夫です。
上手なコーヒーの飲み方
若い時はそうでもなくても、高齢者になるとカフェインに敏感になってしまうことがあります。
そのため、カフェインを多く摂取すると
不眠や動悸、睡眠障害などの症状が現れることがあります。
高齢者の上手なコーヒーの飲み方は、
- 1日2~3杯程度にする
- 午後3時以降のコーヒーは控える
- カフェイン含有量が少ないコーヒーを選ぶ
健康維持や病気による死亡リスクの減少にも効果が期待されているコーヒー。
成人で1日3~4杯が適量(多くても5杯程度)だと言われています。
高齢になると体の機能も衰えてきますので、成人で1日3~4杯が適量であれば
高齢者はそれより少なめの2~3杯程度がおすすめです。
また、カフェインには
- 覚醒作用
- 利尿作用
があります。
飲み過ぎてこの作用が強く出てしまうと
- 不眠
- 夜間頻尿
につながってしまいます。
体内からカフェインの効果が半減する時間は5時間といわれているので、
午後3時以降はコーヒーを飲まないようにすれば
夜はぐっすり眠れるかもしれません。
本格的に豆からコーヒーを淹れる人もいると思います。
カフェイン含有量はコーヒー豆の種類や焙煎度合いによって異なります。
| カフェインが多い | カフェインが少ない | |
| コーヒー豆の種類 | ロブスタ種 (アフリカ、インドネシア) | アラビカ種 (エチオピア) |
| 焙煎度合い | 浅煎り | 深煎り |
浅煎り…酸味が強くなる
深煎り…苦みがつよくなる
カフェインレスコーヒーというのも選択肢の一つです。
ノンカフェインコーヒー、デカフェコーヒーなどもありますので、
ときどき飲み方を変えて楽しんでもいいかもしれません。
こんな人は注意
- 持病があり薬を服用している人
- 胃腸が弱い人
- 心疾患がある人
- 不眠症の人
服用している薬によっては、薬の効果を弱めたり強めたり、阻害したりする恐れがあります。
また、カフェインの過剰摂取はめまいや動悸、吐き気を引き起こすことも報告されています。
降圧剤や抗凝固剤、鉄剤などを服用している方は、かかりつけ医に相談しましょう。
体調の変化とコーヒーの影響
コーヒーが健康維持に役立つ、と広く知れ渡っていますが、
高齢者は控えた方がいい、と話す研究者もいます。
上記でもお伝えしましたが、加齢に伴い「体調が変化する」からです。
- 細胞の老化
- 機能の低下や衰え
コーヒーの効果が期待しにくいとも言われています。
カフェインに敏感になってしまったり、
コーヒーが影響を与えてしまう薬を服用したりするのも理由のひとつです。
コーヒーの利尿作用が夜間頻尿につながることも指摘されていて、
高齢者の昼夜逆転の要因となる可能性もあります。
また、コーヒーを水分補給として考えることもやめましょう。
利尿作用があるため、脱水症状を促してしまう恐れもあります。
高齢者がコーヒーを飲むときは、
時間帯などの飲むタイミングと少なめの量に注意して楽しむといいですね。
高齢者の健康的なコーヒーライフ

コーヒーが健康維持に役立つ飲み物だとご紹介してきました。
高齢になるほど、体の衰えや病気のリスクが高まり心配が増えていきます。
改めて、加齢に伴う病気のリスクとコーヒーの関係性を整理していきます。
| コーヒーの効果 | 理由 | |
| 認知機能の低下 アルツハイマー病のリスク低減 | カフェイン | ・脳の活動を活発化 ・脳の神経細胞を保護 |
| 動脈硬化の予防 心疾患のリスク低減 | コーヒーポリフェノール | ・抗酸化作用 ・血管の炎症を抑える |
| 糖尿病のリスク低減 | コーヒーポリフェノール クロロゲン酸 | ・食後の血糖値の上昇抑制 ・糖の吸収を遅らせる ・インスリン抵抗性を改善する |
※インスリン抵抗性…血糖値を下げる働きをもつインスリンが効きにくくなる状態
高齢者が心配な病気は他にも、
- 骨粗鬆症
- がん
などがあります。
コーヒーはカルシウムの吸収も促進するので、骨粗鬆症のリスク低減も期待されています。
がんについても、抗酸化作用や炎症を抑える効果が
がんの発症リスクを低減するという報告もあります。
高齢になるほどリスクが高まる病気にも、コーヒーの効果は期待されています。
ただ、コーヒーは万能薬ではないので、
- 飲み過ぎには注意すること
効果も個人差がありますので、不安な方は
- 内服薬との関係など必ず医師に相談すること
豆の種類や焙煎のちがいでカフェインの量が変わるので、
酸味や苦みといった好みも参考にしながら楽しみましょう。
高齢者におすすめのコーヒーライフとしては
- カフェインレスやノンカフェイン、デカフェコーヒー
- ミルクをいれたコーヒー
- 空腹時に飲まない(食後30分~)
- 少量をゆっくり飲む
- 夕方のコーヒーは控える
- 1日2~3杯程度
といったところでしょうか。
死亡リスク低減とコーヒーの種類
コーヒーと死亡リスクの関係性について研究をしているグループが面白い調査をしました。
コーヒーが
「あらゆる原因による死亡リスクの減少」
「心血管疾患の発症リスクの減少」
と関連しているというものです。
- 挽いた豆で淹れたコーヒー
- インスタントコーヒー
- カフェイン抜きのコーヒー
3種類のコーヒーで結果に違いがでるか調べました。
・あらゆる原因による死亡リスク
・心血管疾患の発症リスク
どちらでも、
1日にコーヒーを2~3杯飲んでいる人は、飲んでいない人より死亡リスクは低いという結果でした。
| あらゆる原因による死亡リスク | 心血管疾患の発症リスク | |
| 挽いた豆で淹れたコーヒー | (飲まない人より) 27%減少 | (飲まない人より) 20%減少 |
| インスタントコーヒー | (飲まない人より) 11%減少 | (飲まない人より) 9%減少 |
| カフェイン抜きのコーヒー | (飲まない人より) 14%減少 | (飲まない人より) 6%減少 |
(参照:保健指導リソースガイド)
カフェインの量もインスタントより豆のコーヒーの方に多く含まれています。
「認知症予防のためにコーヒーを飲む」という方はカフェインを摂取したいので、
豆かインスタントのコーヒーを選ぶといいでしょう。
カフェインを摂りすぎないように、
- 豆の種類や焙煎のちがいでカフェインを調整
- 1日2~3杯までにする
などの変化をつけてみるといいですね。
「健康維持に役立てたいけどカフェインの摂りすぎは気になる」という方は、
- ノンカフェインコーヒー
- デカフェコーヒー
などのカフェインレスコーヒーがおすすめです。
おすすめのコーヒー
私も自宅でコーヒーを飲むときはインスタントかドリップコーヒーです。
いろいろなコーヒーを試していますが、このコーヒーはおすすめです。
インスタントなんだけどいい香りの本格的なパウダーコーヒーです。
たった5秒で本格コーヒー【INICコーヒー】INIC(イニック)コーヒーです。
デカフェコーヒーもあるので、夕方はときどきデカフェ、と変化をつけながら
コーヒータイムを楽しんでいます。
香りと味もいいので、高齢の父にもときどき昼食後にすすめています。
コーヒーで食物繊維が摂れるというサプリコーヒーもあります。
おいしい健康習慣<ドリップコーヒーで食物繊維>【カフェサプリ 食物せんい】豆のコーヒーで、楽しみながら健康維持に役立てたい方には
大人気の【送料無料】お試しセットコーヒー通の豆専門店
コーヒーの情報をメールで教えてくれたり、好みのコーヒー豆を選べたり、
コーヒー通になったような気がしてしまうおいしいコーヒーです。
まとめ
高齢者にとってコーヒーに含まれる
- カフェイン
- ポリフェノール
が認知症予防や糖尿病、動脈硬化の予防、心疾患のリスク低減に効果が期待されると言われています。
とはいえ、飲み過ぎは逆に健康障害を起こしかねませんので、
- 高齢者で1日2~3杯(成人で3~4杯)
- 午後3時以降は控える
- ミルクを入れて飲む
- カフェインレスのコーヒー
など飲むタイミングや量を考えることも大切です。
また、高齢になると体調の変化や病気になることもあります。
持病の薬を服用している人は、コーヒーが薬の効果に影響を及ぼす可能性もありますので、
必ず医師に確認することもおすすめします。
コーヒーは健康効果だけでなく、
リラックス効果もありますので、ぜひ高齢者にこそ飲んでほしいものです。
ただ、
- 不眠
- 夜間頻尿
にならないように水分補給としては考えず、
飲む時間にも気を配りながらコーヒーライフを楽しんでほしいと思います。
コーヒーが苦手な方は、野菜たっぷりのスープで体を温めたり水分補給をしたりするのもおすすめです。
こちらの記事も参考までに。


