親の介護が始まった──。
自分自身も40代を過ぎていれば、自分の生活や体力の面で介護に心配もでてくるでしょう。
在宅介護が始まると、
- 不安
- 戸惑い
- 孤独
などを感じやすくなります。
今回とりあげるテーマは「食事介助」。
家族の在宅介護を抱える40~60代に、
“ちょっと楽になる情報”
を届けたいと思っています。
在宅での食事介助は、毎日の大きな負担になります。
- 「うまく食べさせられない」
- 「むせてしまう」
- 「食事に時間がかかる」
──そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、
- 食事介助の基本
- 実践的な工夫
など、分かりやすくご紹介します。
食事のときに注意したいこと
自力摂取ができても、介助が必要でも
「食事をするときの姿勢」はとても重要。
なぜなら、誤嚥防止のためです。
「誤嚥(ごえん)」に注意!
「誤嚥」とは、食べ物や飲み物が
「食道」ではなく、「気管」に入ってしまうこと。
気管に食べ物などが入ってしまうと、むせてしまいます。
特に高齢者は、飲み込みが弱くなるなど嚥下機能も低下してきます。
そんなとき、食べ物や飲み物だけでなく唾液でも気管に入ると、
そこに含まれる細菌が肺の中で炎症を起こし
「肺炎」を引き起こしてしまいます。
これを「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」といって、
高齢の人はかかりやすく、また繰り返してしまう、とても危険な病気です。
嚥下機能の低下だけでなく、
認知症や脳血管障害(脳梗塞など)で、のどの感覚が鈍っていると
むせ込みや咳き込みなどの防御反応が起こらない場合もあります。
これを「不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)」と言い、
気づかないうちに誤嚥性肺炎を発症し、重症化するケースもあります。
食後や普段のチェックで
- 声がかすれていないか
- 微熱は続いていないか
- 食欲は低下していないか
などのサインが出ていないか、「誤嚥」という観点からも観察しましょう。
誤嚥を予防するには
自力摂取ができる方は、できるだけ正しい姿勢で食事をしましょう。

- 背すじをのばして座る
- 飲み込むときはあごを引く
- 足は床につける(届かないときは足台を使用)
- 背中にクッションをいれる
食べるときは、
- ゆっくり、よくかんで
- むせたときはしばらく休む
- 水分があるものはとろみをつける
- 食材は一口大に切る
- やわらかく煮る
食介が必要な方は、角度やマッサージなどで誤嚥を予防することもあります。
大前提として、
むせにくい食べ方をすること。
- いすの背によりかからず、浅めに座る
- ベッドの場合は、背もたれを45〜60度の角度に上げる
- 頭(顔)はあごを少し引いた姿勢
あんかけメニューの、「あん」くらいのとろみが一番飲み込みやすいとも言われています。
プリンやミント系の風味があるものも、のどごしがいい食材です。
食べ終わったあとはしばらく座位を保ち、すぐ横にならないようにしましょう。

食事介助の基本
飲み込むときにしゃべると誤嚥しやすいともいいますが、
楽しく食べるための、少しの会話はあってもいいと思います。
いつもの声がでている、と確認できれば「しっかり飲み込めている」というのも分かります。
飲み込むタイミングで話しかけないように注意しましょう。
飲み込みが悪くなってきた、と感じたときは
食事形態を見直すことも重要です。
嚙む力が落ちてきたら、
- やわらかく煮る
- 一口大
- 刻み
飲み込む力が落ちてきたり、むせやすくなったら
- とろみをつける
とろみ粉は薬局などでも市販されています。
とろみ粉もメーカーによっていろいろな種類があります。
大容量(1㎏など)の方がお得かもしれませんが、
どの程度のとろみが必要かによって、使用する量も変わってきます。
1ヵ月程度で使い切る容量の方が、衛生的に良いかと思います。
(毎食、開けたり閉めたりすることで空気に触れ、雑菌が繁殖する可能性があるから)
高カロリーの飲料やとろみのついた飲料も、たくさんの種類が販売されています。
声かけにも一工夫
食べさせるときも無言ではなく、
- 「口を開けて」
- 「お肉(お魚)ですよ」
- 「入れますよ~」
- 「よくかんでね」
- 「ごっくんして(飲み込んで)」
など明るい声かけでやさしく話しかけると、本人もリラックスして食事ができます。
食前の「口腔体操」もおすすめ。
介助のやり方:一口ずつ丁寧に
- スプーンの7割程度が適量(多すぎ注意)
- 食べ物は舌の上にのせる(奥に入れすぎない)
- 飲み込んだのを確認してから次の一口を
食事介助は、要介護者の介護度や状態によって変わってきますので、それぞれの個性をしっかり把握しないといけません。
- 小スプーンがいい人
- 大スプーンがいい人
- 口に入れる量が少なすぎると、嚥下反射が起こりにくい人
- ごっくん、が分かりにくい人
- 食事形態のちがい
在宅介護で食事介助が不安なときは、ケアマネや支援センターなどに相談し、対策を考えましょう。
唾液腺(①耳下腺②顎下腺③舌下腺)をマッサージして唾液の分泌を促し、飲み込みやすくしてあげてもいいですね。
食後の口腔ケア
唾液も誤嚥性肺炎の原因になります。
食後は口腔内の残渣物(食べかすなど)を取り除き、清潔に保っておかないと
雑菌を含んだ唾液が気管に入り、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
- 30分程度は座らせておく(すぐに横にしない)
- 口の中の食べかすチェック・うがい
あると便利な介護グッズ
- 介護用スプーン・フォーク(角度付き・握りやすい)
- 滑り止め食器マット
- とろみ粉
- 食事用エプロン
まとめ
食事はただ命をつなぐために食べるのではなく、楽しみの時間でもあります。
在宅介護ではつい「食べさせなきゃ」、と義務感が先にきてしまいがちですが、
焦らず、ゆっくり。
一緒に「食べる・味わう」ことを大切に、楽しんで行いましょう。
本人のペースに合わせて介助することで、介護する側もされる側もストレスが減ります。




