介護職をながくやっていると転職の回数も多くなります。
「介護の仕事が好きなのに転職して失敗してしまった…」
「今の職場に不満はあるけど、転職でまた後悔したくない…」
そんな不安を抱えていませんか?
介護職の転職は
- 給与
- 待遇
- 労働環境
- 人間関係
- キャリアプラン
など様々な要素がからんで選択がむずかしいこともありますよね。
「こんなはずじゃなかった…」と転職後に後悔するケースも少なくありません。
この記事では、介護転職でよくある失敗例の紹介と、そこから得られる教訓と対策を解説します。
- 転職で失敗したくない方
- これから介護職への転職を考えている方
ぜひ参考にしてください。
介護職の転職「こんなはずじゃなかった…」よくある失敗例
介護の転職は、思わぬ落とし穴にハマるケースも少なくありません。
私の経験のひとつは、
「仕事が楽になると思って有料老人ホームに転職したのに、特養と変わらない忙しさ」
です。
後悔を避けるためにも「よくある失敗例」を知っておくことはとても重要です。
ここでは、代表的な失敗例を3つご紹介します。
給与や待遇に目がくらんで…労働環境が悪かった
求人情報の「高給与」「充実した福利厚生」に魅力を感じ、転職を決断。
実際は「残業が多い」「休みが取れない」という施設だった話はよく聞きます。
求人票には記載されていない労働環境の現実を、転職後に初めて知るという事態はとてもつらいものがあります。

高給与に惹かれて転職したが、残業が多くプライベートの時間が取れない

求人票に記載されている情報だけで判断し、労働環境の細部を確認しなかったことが原因

好待遇のはずが、実際は手当が少なく給与明細も疑問

待遇の詳細な内容を確認せず、曖昧な説明だけで判断したことが原因

公共交通機関での通勤は時間がかかって、疲労MAXで仕事に集中できない

通勤時間について考慮せず、職場へのアクセスを軽視したことが原因
給与や待遇は重要な要素ですが、それ以上に労働環境の快適さはながく働く上で不可欠です。
大切なのは、事前にしっかりと情報を収集することです。
対策としては、
- 求人票だけでなく、施設見学や面接で労働時間や休憩時間、残業の実態などを直接確認する
- 給与明細のサンプルを確認したり、具体的な支給額や支給条件について質問する
- 自宅からの距離や交通手段を事前に確認する
など。
人間関係の悪化…職場の人間関係が悪かった
介護の現場ではチームワークが重要です。
しかし、
- 職場の人間関係が悪い
- ストレスを抱えながら働く
というケースも少なくありません。

同僚との人間関係が悪く、毎日が辛い

職場見学でスタッフの雰囲気を確認しなかった、または表面的な印象だけで判断したことが原因

上司との考え方の違いが大きく、働きにくい

上司のマネジメントスタイルや考え方を事前に確認しなかったことが原因

パワハラやモラハラに遭い、精神的に追い詰められた

職場環境の悪さが事前に分かりにくかったことが原因
人間関係は転職後に大きく影響する要素の一つですが、面接などの短時間ではなかなか見抜けないこともあります。
面接での質問や口コミサイトの活用、事前に職場の人間関係についてできる限り情報を集めようとする努力も必要になってきます。
対策としては、
- 施設見学でスタッフ同士のコミュニケーションの様子を観察する
- 面接で職場の雰囲気や人間関係について質問する
- 面接で上司の考え方やマネジメントスタイルについて質問する
- インターネットを活用し施設の評判を事前に確認する
など。
事前に人間関係の雰囲気を把握することができれば、転職後のストレス軽減につながります。
理想と現実のギャップ…施設の理念と現状が合っていない
「利用者様を第一に考える」「温かい雰囲気の職場」といった理想的な施設理念に惹かれて転職したものの、実際は理想と現実のギャップに苦しむケースがあります。

ケアに時間がかけられず、質の高い介護が提供できない

施設の体制や人員配置に問題があることが原因

施設の理念と自分の介護に対する考え方に大きな違いがあった

「仕事としてどのような介護をやりたいのか」という考えが「施設の種類」の理念と相違があったことが原因

スタッフのモチベーションが低く、働きがいを感じられない

スタッフの雰囲気や人員配置、業務内容が確認できなかったことが原因
理想と現実のギャップが大きければ、自分自身も「燃え尽き症候群」になってしまう可能性もあります。
そのギャップを埋めるためには、施設の理念や方針を深く理解すること。
自分の価値観と合致しているかを確認することが大切です。
対策としては、
- 実際の業務内容や人員配置を確認する
- 面接で一人当たりの担当人数や業務内容について質問する
- 施設のホームページなどから理念や方針を理解する
- 施設見学でスタッフの表情や雰囲気を観察する
など。
代表的な失敗3つですが、他にも
「キャリアアップを目指したのにスキルアップにつながらなかった」
という体験談もあります。
こちらは、
- スキルを学ぶ機会がない
- 施設の研修制度やキャリアパス制度がない
- 希望の職種へ配属されなかった
など。
面接時に、研修やキャリアアップについての質問もしておくと不安も軽くなると思います。
失敗から学ぶ!介護転職を成功させるポイント

代表的な失敗からも分かるように、面接や施設見学のときに確認しておくべきポイントがあります。
施設見学でチェック
介護施設の見学は求人票だけではわからない重要な情報を収集する絶好の機会です。
単に施設内を見学するだけでなく、以下の点をチェックすることでより現実的な職場環境を把握できます。
| チェック項目 | 確認ポイント |
| 利用者さんの様子 | 表情や様子が穏やかであるか 活気があるか 職員と利用者さんのコミュニケーションの様子 |
| 職員の様子 | 職員同士のコミュニケーション 利用者さんへの対応 働いているときの表情 |
| 施設の清潔さ 設備 | 清潔感 設備の充実度 安全性 |
| 休憩室やロッカーなどの環境 | 休憩室の広さや快適さ ロッカーの有無 |
| 実際に働く場所の確認 | ユニット型なのか 大規模施設なのか 他部署で働く可能性 別フロアへ行く際の導線 |
利用者さんや職員の何気ない様子などは、職場の雰囲気や人間関係を推測できます。
忙しすぎていないか、余裕を持って働けそうかなども確認しましょう。
また、古かったり設備が整っていない施設は労働環境にも影響する可能性があります。
休憩室やロッカーなどの設備の充実も、仕事の満足度に大きく影響します。
実際に働くイメージを思い浮かべながら、業務範囲を具体的に確認しましょう。
面接でのプラス質問
面接では積極的に質問することがおすすめです。
「最後に聞きたいことはありませんか?」と言われたら、求人票や施設見学だけではわからない情報を引きだせるように、質問しましょう。
より現実的な職場環境を理解できます。
| 質問項目 | 確認ポイント |
| 離職率 | 離職率が高い場合は、 ・労働環境 ・人間関係に問題 がある可能性 |
| 残業時間 | 残業が多いと、 ・プライベートの時間がとれない ・心身共に疲弊する可能性 ・残業の実態 ・残業代支給の有無 |
| 教育体制 | ・スキルアップ ・キャリアアップ ・研修制度 ・資格取得支援制度 などの教育体制が整っているか |
| キャリアパス | ・キャリアアップの道筋 ・将来的な展望 自分のキャリアプランと合致するか |
| 人間関係 | ・職場の雰囲気 ・人間関係 ・先輩職員との交流 ・相談しやすい環境があるか |
質問しにくい内容もあるかもしれませんが、納得できる理由が得られるか確認しておくことは働き始めてからのトラブルを回避できます。
- 口コミサイトの活用
- SNSでの情報収集
- 知人・友人への相談
なども求人票では把握できない多角的な視点から情報を集めることができます。
自分のキャリアプランを明確に
介護職への転職を成功させるためには、
「自分のキャリアプランを明確にする」ことも重要となります。
ばくぜんと「介護の仕事がしたい」と思うのではなく、
- 具体的な目標を設定すること
働く職場は選びやすくなります。
| 短期目標と長期目標を設定 | 短期目標:例「1年後には特定の資格を取得する」 長期目標:例「5年後にはリーダー的な役割を担う」 |
| 自分の強みと弱みを把握 | スキルや経験 得意・不得意 |
| 理想の働き方 | 勤務時間、給与、休暇、キャリアパスなど |
- 具体的にイメージすること
- 自己分析すること
自分に合った職場を選びやすくなります。
【体験談】介護転職失敗ストーリー

同僚の転職失敗談です
ここまでご紹介した代表的な失敗の3つが「ほぼ当てはまる」と言っていました。

有料老人ホームに来る前は、老健で5年ほど働いていました。
利用者さんとはしっかり関われていたので、やりがいも感じていました。
でも、
- 慢性的な人手不足
- 長時間労働
- 上司や施設のやり方との食いちがい
- 残業の申請が通らない
など、プライベートの時間も持てず心身ともに疲弊した毎日でした。
より働きやすい環境、自分のスキルアップにつながる職場を求めて、転職を決意したといいます。

新しい職場で経験を積み、
3年後くらいには介護リーダーになりたいと思っていましたが、キャリアアップの制度がなく、施設長のさじ加減(好き嫌い)で役職が与えられる施設だったので、1年後の状態をみて転職するか考えています…
転職で失敗したと感じている人は、
- 職場環境の確認不足
- 人間関係の確認不足
- 情報収集不足
などが多く挙がっています。
希望の条件だけを確認することでいっぱいになり、冷静に判断できなかった、とも話しています。
失敗から学んだ教訓と対策
面接や施設見学でしっかり見極めよう、と思っていても
- 時間がない
- 実際働いてみないと分からない
ことも多いですよね。
実際の面接でも、施設側は当然ながら
「いい条件・情報」
しか伝えないことが多くあります。
「施設側の事情」を聞ける範囲で聞くことも、入社後に後悔をしないコツかもしれません。
具体的には、
- 休憩時間はしっかりとれるか
- 休憩室はあるか
配属予定の部署、もしくは同じ施設内の他部署で
- 利用者さんの急変
- 職員の急な当日欠勤
などがあったときの対応や
- 休みの希望が重なりやすい時期(年末年始など)の人員確保
なども負担が大きくならないか聞いておきたいですね。
当日欠勤があった場合に、自分のフロアから人員が回されるのであれば業務の負担を負うことにつながります。
施設によっては、パートさんの希望休は必ず聞き入れ正社員が出勤の負担を負う、という職場もあります。
それを「正社員だから仕方ない」と思えるか、「それなら、ボーナスや出勤手当などに反映されないと納得できない」と質問できるかで面接時の情報収集も変わってきます。
転職サイトを活用する場合でも、サイトの情報だけに頼らず
- 口コミサイト
- 友人や介護関係者
からの情報も積極的に行うと役に立つかもしれません。
自分がどんな働き方をしたいのかを明確にしておくことも大切です。
- ケアマネジャーの資格を取得したい
- レクレーションに役立つ資格をとってデイサービスで働きたい
- 施設で介護の仕事だけをしていきたい
など。
介護転職で役立つ転職サイト
介護転職において、転職サイトは求人情報の収集に欠かせないツールです。
しかし、求人情報サイトの数はとても多く、それぞれに特徴があります。じょうずに活用し、失敗を避けましょう。
複数のサイトで比較検討することもおすすめします。
また、給与、勤務時間、休日、職種、立地条件など、自分の希望条件を明確にして検索することで効率的に求人を探すことができます。
条件を絞り込みすぎた場合、求人数が少なくなる可能性もありますが希望に沿わない職場に転職するリスクを軽減できます。
ハローワークや転職エージェントに相談することで、
- キャリアプランの見直し
- 新たな視点を得る
ことができ、より適切な転職活動を進めることができます。
まとめ

この記事では、介護転職におけるよくある失敗例と、それらの対策をご紹介しました。
- 給与
- 待遇
- 労働環境
- 人間関係
- 施設理念
- キャリアプラン
など、多角的な視点から転職活動を進めることが後悔のない転職につながる重要なポイントです。
- 求人票の情報
- 施設見学
- 面接での情報収集
- 口コミサイト
- 地域の介護関係者からの情報収集
徹底的なリサーチを行うことに加え、
- 自分のキャリアプランを明確にし、それに合った施設を選ぶこと
で、長期的なキャリア形成にもつながります。
転職サイトなどを活用することでより精度の高い情報を得ることができ、失敗のリスクも軽減できます。
面接や施設見学でのチェックポイントや、将来も見据えたうえで働きたい職場を選択できたか、などしっかり確認し準備万端で転職活動に臨みましょう。
介護職においての転職は、どんなことでも経験になります。
失敗を恐れず、理想の職場を見つけて充実した介護キャリアを築いてください。

